「街造り」から「まちづくり」へ
かつて、まちづくりと言えば、「街造り」。平成2年の公共投資基本計画では、10年間に430兆円の投資が計上されたこともあります。一方、昭和の末から平成にかけ、「まちづくり」の用語が登場します。当初戸惑いも見られたものの、バブル崩壊やモノから心へ、真のゆたかさを求める人々の意識変化を背景に、福祉、環境、教育、子育てなど、いわゆるソフト分野の取り組みや活動も、住み良いまちを築くために不可欠であるとの認識が広がります。「まちづくり」は市民権を得て行ったのです。もとより基盤整備や乱開発抑止など都市計画も欠かせません。地域のことを良く知る住民が、まちづくりに主体的に参画する住民自治・・・「市民はまちづくりの主権者」【岐阜市住民自治基本条例第4条】であり、まちづくりの主役は市民なのです。
「協働のまちづくり指針」
「まちづくり」の言葉と同様に、平成10年頃を境に協働の言葉が登場します。岐阜市では平成16年に「協働のまちづくり指針」を策定し、協働について定義するとともに、協働のまちづくりを具体的な展望をします。
「行政に委ねられてきた公共(社会サービスや施設など)」から「みんなで育て上げる公共」へ。「身の回りの問題は、まず個人や家庭が解決にあたり、解決できない問題は地域で解決し、それができない問題は行政が解決に当たると言う『補完性の原則』」が、協働の基本的な考え方につながります。
また、協働には、「住民相互の協働」と「住民と行政の協働」がともに活発に展開されることが、地域を、そして岐阜市をより良いまちにするために欠かせません。
「協働の11原則」
具体的に協働を進めるために注意したいことがあります。まちづくりの目標は同じでも、考え方や方法が違うことで、うまく進まないことがありがちです。そんなシーンに直面した時、以下の「協働の11原則」が、役に立ちます。
①お互いが対等の関係:「対等の原則(下請けの関係ではない)」
②お互いが自己責任・自己決定のもとに行動:「自主性・自立性の原則(もたれ合うのでなく支え合う関係)」
③お互いの立場を理解し合う:「相互理解・説明責任の原則(立場の違いを前提に協力し合う)」
④お互いが話し合って進めます:「話し合いの原則(一方的に押し付けない。役割分担も大切)」
⑤お互いが持つ情報を公開します:「情報共有の原則(お互いが情報を共有)」
⑥お互いが学び合い、育ち合うことを目指します:「学び合いの原則(学び合い、ひとり立ちして、次の新たな使命に挑む)」
⑦お互いの資源を持ち寄り、それをベースに活動します:「自然体の原則(自分自身で出来ることから。最初から背伸びしすぎないで)
⑧ともに目指すことは同じです:「目的共有の原則(何のために協働するのかを確認しておく)
⑨いつまでに何を達成するのかを確認し合います:「時限性の原則(目的達成の期限を確認)」
⑩取り組み内容をみんなが知ることができます:「公開の原則(透明で開かれた活動)」
⑪お互いに提案できます:「発議自由の原則(市民から行政や地域へ、行政から、そして協働体からも活発に提案を)